はじめに
2019年4月1日。
日本中が新年度のスタートと、新元号発表にソワソワしたこの日。
エイプリルフールなネタも飛び交う中、Janne Da Arc(以下、JDA)なる邦ロックバンドが解散を発表しました。
筆者自身も好きなバンドで、学生時代にバンドサークルでコピーバンドを組んでいたこともあり、この発表は一種の喪失感を覚えるものでした。
解散の経緯や原因等の考察はさておき、JDA楽曲で勉強になった点は大変多く、有り体に言えば多くの影響を受けいます。
これを機にポイントとなりそうな奏法をピックアップして、解説がてらご紹介していきたいと思います。
付点8分ディレイ効果
このブログの奏法解説でも何度か言及してますが、ギターのエフェクターを効果的に使った奏法として広く認知されている手法です。
認知度を高めたU2
誰が最初にこの奏法を行ったのか?
真実はわかりませんが、世の中に数多くのフォロワーを排出し、認知度を高めたのはU2のギタリストであるThe Edgeと言うことは有名です。
※彼をこの奏法の元祖とする意見も多い
U2: Where The Streets Have No Name
柔らかな空間の広がり
聴いて頂くとわかる通り、何とも言えない優しい空間の広がりを感じさせてくれます。
ディレイ = 山びこ効果
なので当たり前なのですが、無限に広がる空間と言うより、ある種の限定された空間の中での音の広がりが演出されるように感じます。
8分ピッキングで16分音符
奏法的にはこちらが重要ですね。
ピッキング又はフィンガリング(タッピング)は8分音符を弾いているのに、いつの間にか倍の16分音符で音が鳴る。
8分音符では何となくカチっとした印象のフレーズでも、付点8分ディレイの効果で16分音符の流れるフレーズ感を演出出来ます。
原音とディレイの音量差
これも密かにポイントで、付点8分ディレイの場合はディレイ音を一般的な設定より大きめにしますが、多くが原音の70~80%と言ったところでしょう。
この加減具合が、まるでフレーズが後から追って来て隙間が埋まっていくような効果を発揮してくれます。
実例 : Heven's Placeイントロより
では、JDAの楽曲での実例を。
ディレイ設定
先に述べた通り、ディレイ音量は通常より大きめに70~80%程度に。
逆にディレイ回数(Feedbackと表記されることが多い)は少な目の1回分程度に。
フィードバック回数が多過ぎるとカオスになります(笑)
ディレイタイム
この楽曲はBPM120です。
エフェクターによってはBPMと付点8分と設定するだけで効果が得らるものもあります。
バンドでのライヴやリハを想定すると、同期音源等でクリックを併用しない限りテンポは一定でない為、
タップテンポ : スイッチを2回以上踏むことでBPMを設定する
と言う機能を備えた機種も数多く存在します。
秒数設定のみで行う場合
簡易なマルチエフェクターに多いのが、付点8分等の音符設定がなく、秒数調整のみでディレイタイムを設定するタイプ。
さて、実例のBPM120の付点8分は何秒で設定すれば良いのでしょうか?
BPM = Beats Per Minute
1分間に何拍か、と言う意味です。
なので、BPM○と略した表記は本当の意味では適切ではありません。
多くのポップ/ロック系のバンドスコアには、
BPM 4分音符(音符記号) = ○
と記載されていることが多いです。
これならば、1分間に4分音符○個と言う意味になり、テンポが明確になります。
BPM 4分音符 = 120
さて、多くのディレイタイム調整は単位がmsですね。
これはミリ秒を表しています。
1分間に4分音符120個を、まずは秒に変換します。
1分=60秒ですから、
120(個) ÷ 60(秒) = 2
つまり、1秒間に4分音符2個ですね。
…と言うことは、0.5秒にディレイタイムを設定すれば4分音符のディレイとなるわけです。
ミリとは1000分の1ですから、
0.5s = 500ms
となります。
表現したいのは4分音符ではなく、付点8分ですね。
付点8分 = 8分音符1.5個 = 16分音符3個
どちらの計算法でも結果は同じです。
8分音符で考えるならば、
500ms(4分音符) ÷ 2 × 1.5 = 375ms
16分音符で考えるならば、
500ms ÷ 4 × 3 = 375ms
いずれにせよ、375msが答えです。
ディレイタイム計算サイト
これだけ数式を並べといてアレですが、便利なディレイタイム計算サイトもあります。
しかしながら、BPMや音符の見方を知らないと、いざと言う時に困ることもあるので、この程度は基礎知識としておさえておきましょう。
せっかくなので・・・
本線の付点8分ディレイの解説は以上ですが、せっかくなのでこのイントロフレーズの解説を。
※解説はアルバム版を対象としております。
4拍子の中で3拍子
このフレーズ、最初の3小節はわかりやすいです。
しかし、そこから先〜オクターブのリードフレーズに入るまで、正直他のパートが入っていないとどこを弾いているのかわからなくなります^^;
これは、4/4拍子である楽曲に対して、3/4拍子のフレーズを詰め込んでいるから。
この楽曲のイントロをもう一段階細かく区切ると、
- 最初の3小節
- 次の8小節(ベースリード)
- 次の8小節(ベル等が入る)
- ギターのオクターブリード8小節 × 2
そう、最初はギターのフレーズに合わせて3小節(=12拍=3拍×4回し)一区切りと思わせて、その後は普通に4小節一区切りの楽曲なのです。
でも、ギターのフレーズはそのまま3拍子のフレーズ。
でも、上のセクションで区切る為に帳尻を合わせています。
8小節 = 32拍 = 12拍(=3拍×4回し) × 2回し + 8拍
最後の8拍を合わせるのは勿論ですが、それまで他のパートに惑わされずに3拍子フレーズを弾ききるのは容易ではありません^^;
リズム遊びをしながらも、楽曲はポップに持ってく。
この辺も、彼らが当時掃いて捨てるほどいると言われた数多くのバンドの中で頭角をあらわした要素の1つなんだなと、改めて感じますね(^^)
最後に
今回のシリーズは解説を基本一種類に絞ることで文字数を抑える予定でしたが、以外にも3000文字弱・・・駄目でした(笑)
次回はもう少し短く・・・なるといいなぁ^^;
これ程の長文を読んで下さってありがとう御座います!
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