はじめに
日本にはお盆という先祖を悼む季節が文化としてあります。
特に故人が亡くなってから最初のお盆…正確には故人の49日の法要が過ぎてから最初のお盆を初盆(=新盆)と呼びます。
この1年間、多くの音楽人が亡くなりました。
この記事を書いている2021年ではなく、敢えて2020年としたのにはわけがあります。
この奏法解説記事の楽曲の作者でもあるChildren of BodomのAlexi Laihoが名を連ねているからです。
学生時代、メロディック・スピード・メタル(以下、メロスピ)から洋楽メタルに入った筆者は漁るようにメロスピやメロデス、プログレ・メタルを聴いていました。
Children of Bodomはそのかなり初期段階から聴いていたアーティストであり、そのVo&GtであるAlexi氏は筆者よりほんの少し年上のギターヒーロー達の一人でした。
それだけに、昨年末の訃報は衝撃を受けたのを昨日のことの様に覚えています。
はてさて筆者progre自身にAlexi氏との血縁関係は勿論ありませんが、ギタリストとして、メタルファミリーとしてこの季節に、この楽曲を弾きたいと思います。
奏法のポイント
※チューニングは全弦1音下げです
※Young Guitar 2005年2月号のTab譜面を参考に音取りしています
イントロの3本弦スウィープ (0:00〜 / 1:49〜)
この曲で最も印象に残るのがこのイントロフレーズではないでしょうか。
速弾きのギターソロの様に聴こえつつも、楽曲の主旋律の様なメロディアスなフレーズになっています。
動画を観て頂く通り、このフレーズは所謂3本弦スウィープ・アルペジオなわけですが、ポイントは速弾きの為ではないというところではないでしょうか。
「流さない」スウィープピッキング
原曲をよく聴くとわかるのですが、アレキシ氏はここのフレーズでかなりクリアなピッキングをしております。
スウィープピッキングにありがちな、エコノミーピッキング(連続ダウンorアップ)部分でリズムが流れがちになるところを、3連符のツーバスはじめリズム隊の刻みにきちんと合わせてきています。
筆者自身も上手に弾けているとは言い難いですが、
ということを特に意識することで、原曲のニュアンスに近付けることが出来ると思います。
「音質面」で使うスウィープピッキング
一方で、リズムにかっちり合わせるならスウィープピッキングを使わずに、オルタネイトピッキングで良いのではないか?というのも一理あります。
BPM216の8分3連符音符くらいのスピードですから、慣れてくればオルタネイトピッキングでも弾けないことはないと思います。
しかしながら実際に弾いてみるとわかりますが、同じネオクラシカルなメロディラインでも印象が随分違うことに気付くでしょう。
音質面を言葉で表現するなら「メカニカル」か「メロディアス」かというところでしょうか。
どちらが良いかは完全に好みなわけですが、筆者progreは原曲を同じ後者の弾き方を選びました。
こういった非常に細かい部分も、Children of Bodomの音楽性がメロデス(メロディック・デスメタル)と呼ばれた所以ではないでしょうか。
Bメロ後半の6連符フルピッキング (1:25〜 / 3:29〜)
サビ前(?)の部分で出てくる、おそらくこの楽曲で最も速いフレーズです。
押弦側はそれほど移動するわけではありませんが、この速度でのフルピッキングは大変です^^;
自分の限界を超えたピッキングや、安定しない速度でのピッキングというのは常に試行錯誤の世界です。
筆者自身何度もこの壁には当たっており、その度にその時代時代でプロの手法を参考に思考錯誤してきました。
今回この楽曲のこのセクションはそれに当たりましたので、別の記事にまとめたものをご紹介します^^;
サビ後半の3連符ツインリード (1:44〜)
所謂「速弾き」フレーズとしてはスタンダードなスケールをなぞった下降フレーズ。
イントロ同様の速度でありながら前者との対比はフルピッキング(最後のみスウィープ)でよりリズムに対してかっちり目に弾くことで、ツインリード時のインパクトが増す様にフレーズが練られています(^^)
2番のみに出てくるユニゾンフレーズ (2:54〜)
楽曲の曲調ががらっと変わる最初の部分。
フレーズの多くが低音弦→高音弦とスウィープ(エコノミー)ピッキングで弾きたくなるフレーズではありますが、ここはバッキングやリズム隊同様にリズムを刻むようなオルタネイトピッキングで臨む方が良いと思います。
この直後に続くBメロやサビのメロディアスさとの良い対比となり、楽曲全体にもメリハリが出るのではないでしょうか。
最後のネオ・クラシカルセクション (4:18〜)
初めてこの楽曲を聴いたのは高校生の頃だったと記憶しておりますが、イントロより衝撃を受けたのがこの最後のネオクラシカルなフレーズだったのをよく覚えています。
洋楽メタルはHELLOWEENから入りましたが、その後かなりの欧州メロディック・スピードメタル(=メロスピ)からこの手のメロデスまで…大学1年生くらいまで漁るように聴きまくっていました。
多くに共通するのがYngwie Malmsteenの影響か、Ritchie BlackmoreやRonnie James Dioの影響か、はたまた欧州人の血か…クラシックの要素が多分に入っているということでした。
筆者自身が幼少時にピアノレッスンを受けていたのが影響したかはわかりませんが、おそらく私含めた日本人はクラシカルなメロディーは耳馴染みが良いと思います。
メロスピやメロデス、好き…もしくは一度は好きだったギタリストさんは多いでしょう?(笑)
弾いて1音、離して1音
奏法としてはメインはそれ程難しくはありません。
ただ、このフレーズはプリング・オフを多様したレガートフレーズ。
更にはツインリードでハモりも入っています。
最初にピッキングする音ははっきり聴こえますが、弦から指を離して音を出すプリングは、音を出すことばかりに集中してしまうとリズムが乱れがちです。
弾いて1音、離して1音を意識して、リズムの流れにしっかり開放弦の音を混ぜ込みましょう。
リードとハモりが共に意識することで、きれいなツインリードフレーズを聴かせることが出来ます。
最後に
言いたいことは好き勝手言わせて頂きました。
Alexi氏が亡くなってしまったことは勿論残念です。
しかしながら、エレキギターを初めて間もない高校生時代、この楽曲と出会った頃には弾けないレベルだったのがこうやって年数を重ねて(ある程度)演奏動画として形に残せて本当に良かったです。
故人の安らかな眠りをお祈り致します。
これ程の長文を読んで下さってありがとう御座います!
気に入って頂けましたらTwitterもフォローして下さい。
更新時にお知らせしております。(無言フォロー歓迎)
はてなブロガーの方はこちらから読者登録下さい(^^)