はじめに
御縁あってここ最近流行っているという楽曲を弾く機会を頂きましたので、それとは別にいつもの演奏動画&奏法解説記事にしていきたいと思います。
流行っているだけあって、発表から3ヶ月ちょいの期間ではあるものの、既にかなり多くの演奏動画がYouTubeにアップロードされておりました。
これからこの楽曲をコピーする方や、既に弾けるものの自分の弾き方との比較・確認をしたいというギタリストさんの参考になれば幸いです(^^)
※今回は耳コピにてコピーしましたが、Tab譜も市販されているようです
楽曲のポイント
いつの時代も必要とされる風刺
筆者progreは音楽評論家ではありませんので、この楽曲が流行った経緯や時代背景などを語るつもりはありませんが、自分の若かりし折(20年前くらい?)にも同じ様に社会や日常を風刺する楽曲にハマったなぁと思い出しながらコピーしていました。
あまり邦楽で記憶に残っているものはありませんが、洋楽では当時バンドでコピーした楽曲も多く、今でもそこそこ覚えているものがありますのでご紹介しておきます(^^)
Slipknot - People = Shit (Audio)
System Of A Down - B.Y.O.B. (Official Video)
特に最初に挙げたSlipknotの楽曲は、今回奏法解説に取り上げた楽曲にも音楽的に通ずる部分が少なからずあったので、一聴した瞬間に自分の中のどこか懐かしさに触れる部分があったのは間違いありません。
アナーキーさを感じさせる♭5
古来、教会音楽では「悪魔の音」と言われていたこともあったとかなかったとか。
私の場合多くはヘヴィメタル楽曲で触れて来ました。
ざっくり解説すると…
この楽曲の基本のキー(=調)はBm(=ニ短調)なのですが、本来このBmの5度に当たるファ♯を♭させた(=半音下げた)ファを積極的に取り入れることで、どことなく鬱々とした雰囲気を醸し出す…というものです。
Metallica: Enter Sandman (Official Music Video)
こちらはキーがEmで、その5度に当たるシの音を♭させたシ♭を積極的に取り入れたリフを多様した、ヘヴィメタルの王道楽曲としてご紹介しておきます。
※ご参考
近年よくみられるサビのコード進行
勝手な推察ですが、上述の鬱々とした面ばかりが目立つ楽曲ならここまで流行ることは無かったでしょう。
全般的に攻撃的な歌詞が続く一方で、サビのコード進行は近年実に多く見られるパターン。
この辺の音楽理論については既に多くの解説記事や動画が上がっておりました。
※上述した♭5についても言及されておりますね
【うっせぇわ】ここ数年のヒット曲には全て「○○進行」が使われていた!?【夜に駆ける】
そしてどの記事にも言及されておりますが、筆者progre自身の世代としても、この手のコード進行は正に椎名林檎さんの「丸の内サディスティック」のイメージです。
自分は勝手に「林檎進行」などと呼んでいます(笑)
奏法のポイント
※耳コピにて音取りしています
【字幕奏法解説付】うっせぇわ (Ado) fullでギター弾いてみた
チューニング
市販のバンドピースもチラッと読みましたし、既に上がっている多くの演奏動画も拝見させて頂きましたが、個人的にはこの楽曲のギターの最低音はB(=低いシ)と判断しました。
一般的な6弦ギターの最低音はミ。
そこから更に2音半程低い音程になります。
7弦ギターを使う
私の演奏動画ではこちらのパターン。
通常の6弦ギターに更に低い方へ弦が1本追加されたものです。
一般的な7弦ギターのノーマルチューニングでは7弦はシの音となるので、丁度この楽曲とも一致します。
ドロップBチューニング
7弦ギターを使うのは自然ですが、多くのギタリストさんはまだまだ保有していないのも事実。
6弦ギターでこの音程を再現しようと思った場合の一つの手法として、チューニングそのものを下げてしまうというのもあります。
単純に全ての弦を2音半ずつ下げるというのも手ですが、
6弦だけ2音半下げ、1〜5弦は1音半下げというチューニングをして、ドロップDチューニングと同じ様な運指感覚で弾くことも出来ます。
ドロップDチューニングより全体的に1音半下げているので、ドロップBチューニングと呼ばれます。
この手法を使う場合は弦がダルンダルンにならないように、いつもより太めのゲージに張り替えることをオススメします^^;
※最近ではドロップCチューニングに下げて弾いた楽曲もありましたので、ご参考までに貼っておきます
JUST THE WAY I AM (RAISE A SUILEN) fullでギター弾いてみた【BanG Dream!】
タイトに刻むBメロのバッキング (0:39〜 / 1:53〜)
ポイントは16分音符の表拍と裏拍です。
これを全てダウンピッキングで弾くギタリストも多いですが、実は結構ハードルが高いです^^;
個人的には16分音符の奇数をダウン、偶数をアップで弾くことで、(ダウン→アップ→ダウン→ダウン→アップ→ダウン)×2と弾いています。
ちょうどコードストロークの空ピッキングと同じ要領ですね(^^)
これにより、ピッキングする方の手の動きを安定させることが出来ます。
勿論、アクセントとしては全てダウンで弾いた方が強いので、リズム感に自身がある、又はリズム感を鍛える為に敢えてダウンで弾ききるというのも全然アリだと思います。
トレモロピッキングを多様するリード (0:44〜 / 1:36〜 / 1:52〜)
この楽曲のリードギターが目立つポイントでもありますよね。
要は16分音符のオルタネイトピッキングなわけですが、音をあまり動かさないことでより聞き手に印象づける効果があるわけです。
運指練習で基礎力を向上させておく
このフレーズの克服法はシンプルで、いわゆる運指練習の様な基礎的な練習量だと思います。
等など、色々と考えることはあるものの、それらを半分無意識的に出来るくらいに反復練習をして体が覚えているかが重要ではないかと考えます。
サビ後半のトレモロエフェクト (1:03〜 / 2:11〜 / 2:56〜)
サビの後半で急にステレオ右側から聴こえる効果音。
一聴すると、ギターのフレーズなのかどうかもわからない音ですね。
もしかしたら本当にギターの音ではないかもしれませんが、こんな感じの音はギターで出すことが出来ます。
エフェクターを使う
ギタリストよろしく、リハやライヴで演奏するならエフェクターを使うことになるでしょう。
一般的には「トレモロ」と呼ばれる音量を周期的に変化させるエフェクトを使います。
機種によっては「スライサー」であったり、古くは「ヴィヴラート」なんて呼称するものもあります。
※ヴィヴラートという表現は正しくありませんが、歴史的に混同してしまった経緯があります。フェンダーギターのシンクロナイズドトレモロと同じですね^^;
この楽曲のBPMは178ですが、このテンポの16分音符に合わせて音量を0↔Maxで変化させると、原曲と同じ様な効果が得られるハズです。
DAWを使う
今回筆者progreはこちらを採用しました。
演奏動画やレコーディング等の場合、録音した後に編集ソフト側で同じエフェクトが掛けられる場合もあります。
その場合の多くは楽曲のBPMを録音時にしっかり設定しておけば、とても馴染んだ感じでエフェクトが掛かってくれるので、大変便利です(^^)
リハやライヴ、配信の際には使えませんが、逆に録音の場合は録音元で掛けたエフェクトの具合を編集時に変えることは基本出来ないので、一長一短です。
その時の環境に合わせてより良い選択が出来るようにしましょう。
最後に
TV等のメディアやSNS等で触れる音楽は数多くありますが、こうやって演奏動画にしたり、バンドやセッションで演奏する為にコピーしたりしない限りはなかなか聴き込んで自分なりに消化するまではいかないもの。
特に最近の流行りの楽曲であったり、若い人達に人気のあるアーティストとなると、尚更遠のきがちになっておりました。
そういう意味で、今回はとても良い機会をもらったと思っています。
単に新しいモノというだけではなく、自分の中にある音楽との共通点も多く見付けることが出来ました。
今後もそういう機会があれば、出来るだけ参加して音楽の幅を狭めないようにしていきたいですね(^^)
これ程の長文を読んで下さってありがとう御座います!
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