はじめに
当ブログでは楽曲の奏法解説を効率よく行う為に演奏動画も併用しております。
そんな演奏動画作成も段々と自分の中でパターン化されて来ておりますので、ここで一度記録しておきたいと思います。
世の中に数多く出回っている「弾いてみた動画」ですが、これから作成・投稿を検討されていたり、やってみたいけど知識不足で踏み切れないバンドマンの方々へ参考になれば幸いです。
前編では主に著作権問題について書いてます。
動画作成準備編はこちら
著作権問題
動画投稿に於いて避けては通れないですよね。
気にされている方も多いでしょうし、私も時々調べ直すようにしています。
動画作成手順をご紹介する前にしばしお付き合い下さい。
【重要】前提として
2019年1月末時点での法体系
今回の記事は法的にも大変デリケートな問題が絡んできます。
法改正や、判例による解釈の変遷に寄っては「この記事に書いてあるから大丈夫」は未来永劫続くものではないことをご了承下さい。
「絶対大丈夫」はあり得ない
私は法律の専門家では無い為、解釈や捉え方に誤りがある可能性は十分に考えられます。
最終的に自己責任となることをご了承下さい。
Youtubeへの動画投稿を想定
同じ演奏動画でも投稿する先に寄って違法・合法かが分かれることがあります。
ex) Youtubeでは問題なかったが、twitterでは違法を指摘されて動画が削除された、等
今回はYoutubeでの投稿を想定して記事を書いています。
非営利目的
Youtubeパートナープログラムは使わないと言うことですね。
初めてお耳にされる方にわかり易くお伝えするならば、Youtubeへ投稿した動画再生数から発生する収益は貰わないことが前提と言えばわかりやすいでしょうか。
弾いてみた動画でYoutuberとして稼ぎたい方は、申し訳ありませんが他の情報源をお調べ下さい。
著作権の非親告罪化
著作権の多くは親告罪(だった)
親告罪…専門的で難しい言葉ですよね(^^;
要は著作権を持っている人しか告訴出来ないと言うことです。
例えば、あるアニメ作品を凄く好きな人が、海外に海賊版を販売している業者を直接訴えることは出来ない、と言うことです。…が、
法改正 (2018年12月30日施行)
2018年末の改正法施行に寄り、一部非親告罪化されました。
※参考文献
他にもいくつかの解説を拝見させて頂きましたが、現状弾いてみた動画に関しては非親告罪の適用を受けるケースは稀かと思われます。
立法目的が海賊版の根絶等であり、コミケ等の同人誌市場等を縮小させる為でないことも解釈根拠の一つです。
…が、先にも述べた通りこの解釈が未来永劫続くとは限らないと言うこと。
そもそも親告罪の範疇と言う時点でグレーゾーンであると言うことは、常に頭に入れておくべきだと私は考えております。
さて、机上の難しい話題はこのくらいにして(^^;
実際に弾いてみた動画を作成するに当たっての著作権問題をピックアップしましょう。
※長瀞(埼玉県)の元荒川。ちょっと休憩しましょう(-。-)y-゜゜゜
演奏する楽曲そのものの著作権
あなたが演奏する楽曲の作詞・作曲・編曲は自作ですか?
オリジナルなら著作権は自分にあるので問題になりませんね。
コピー・アレンジ・カヴァー等の場合は、その楽曲の作詞・作曲・編曲者の権利があります。
YoutubeはJasracとの包括利用許諾契約により、Jasrac管理下の楽曲であれば使用が可能となっています。
これについてはJasracのHPから検索・確認することが出来ます。
他にもJRC、イーライセンス等の団体とも包括契約していますので、Jasrac管理楽曲でないから投稿出来ないとは限りません。
※但し、重要な注意点あり。事項で解説します。
楽曲の先の著作権
楽曲そのものは使用可能であったことを確認したとして、もう一つ重要なことがあります。
動画の目的とする自分の演奏するパート意外のバッキングトラックについてです。
これが(打込含む)全て自演かどうか?
全て自演であれば問題ありません。
私も一部、その手の動画を投稿しています。
問題は(mp3等データを含む)CD等の原曲音源を使用しているケースです。
これはカラオケで使われている(自分で作っていない)音源等も含みます。
これには著作隣接権と言われる原盤権が関係しています。
原盤権
我々が原曲音源として耳にする楽曲の中には作詞・作曲・編曲の方々の権利とは他に、演奏・録音・編集・マスタリング等の仕事をされていらっしゃる方々の権利というのも存在します。
原盤権がレコード製作者の権利と呼ばれているのはこの為です。
したがって、演奏動画にこれら原曲音源を使用するという行為は当然ながら違法行為に該当します。
ここで、上述した親告罪の話が絡んできます。
原盤権を持っている権利者(一般的にはレコード会社)が、原曲を使用した演奏動画というコンテンツに対してどの様な対応を取るのか。
各社対応は違いますし、同じ会社でも作品やアーティストに寄って対応が違うということも十分あり得るのです。
ちょっと乱暴な確認方法
こればかりはグレーゾーンの探り合いとなりますから、あまりオススメ出来る方法ではありませんが、割りと簡単に権利者の対応がわかる方法があります。
原曲音源を使って作った演奏動画を、一度非公開で投稿してしばらく待ってみる方法です。
当たり前のことですが、原曲音源のみをそのまま投稿してしまうと海賊版となんら変わりませんから、冒頭の非親告罪レベルで告訴される可能性がありますので、きちんと演奏動画として完成させてから投稿しましょう。
権利者が認めない楽曲であった場合、投稿時点での自動判別で公開再生不可と警告文章がアカウントのGmailに届きます。
※これを一定期間内に3回繰り返すと(or悪質と判断されれば即)アカウントを凍結されると言われています
権利者が認めてくれる場合、クリエーターツールの著作権情報に使用を認める旨と、申立人に寄る広告表示+収益化の旨が記載されます。
私がYoutubeで原曲音源を使った演奏動画には全てこちらが適用されています。
※埋め込みではわかりませんが、タイトルをクリック(タップ)して頂くと開くYoutubeのページから、動画の説明文の一番下にその旨の表示があるかと思います
上述の通りこれは未来永劫大丈夫と言うことでは無く、権利者の意向で今後変わることも十分あり得ます。
また、今後非親告罪の適用範囲が広がった場合は更に何とも言えませんから、注意は必要です。
ただ、概ねレコード会社単位で対応がわかれているように感じますね。
上のNeo-Aspect (Roselia)はブシロードミュージックさん。
今のところバンドリ楽曲でしか扱ったことはありませんが、この記事を書いている時点では全て許可を出してくれています。
他にもμ’s(ラブライブ!)やGRANRODEOの楽曲で使わせて頂いているランティスさんも今のところ許可を出してくれています。
更には放課後ティータイム (けいおん!)のポニーキャニオンさんとか。
一方でその上に載せたのは組曲「鬼子母神」〜啾啾・徨 (陰陽座)でキングレコードさん。
有名なアーティストも多く、このブログでは水樹奈々さんの楽曲も取り上げました。
この辺は全てダメでした。
他にもソニー系のSACRA MUSICさんもアウトでしたね。
アニソン業界だとKalafinaやLiSAさん辺りですか。
何も反応しない権利者もいる
許可・不許可を明示してくれるところは良いのですが、しばらくしても何も反応がないところも当然あります。
この辺はグレー中のグレーゾーンでしょうが、私は使わないことにしています。
最後に
当初、このまま動画作成法まで書きたかったのですが、既に3000文字超・・・
やはり著作権というデリケートな法的テーマは厄介ですね。
なかなか断定的なことも書けないし・・・
次回は本来書きたかった動画作成編になります。
よかったら後編までお付き合い頂けると幸いです(^^)